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円形劇場について
コンセプト
赤瓦と白壁土蔵の美しい町並みが残る、鳥取県倉吉市。 ここに、地元のシンボルとして愛され続けてきた日本最古の円形校舎があります。
子供たちの元気な足音が響いた螺旋階段や、先生の声に真剣に耳を傾けた扇型の教室など、貴重な姿を残しています。
老朽化により、いったんは解体が決定したものの、その存在を惜しむ多くの市民の声により、古びた校舎はもう一度息を吹き返すこととなりました。
子供たちに代わって、そこに集うのは、恐竜や動物、アニメのヒーローや人気キャラクターたち。
まんが文化が息づく鳥取、そしてフィギュアのトップメーカーの工場が存在する倉吉という地域性を背景に、誰も目にしたことのないビッグスケールのフィギュアミュージアムが姿を現します。
見るだけではない。製造工程を学んだり、ワークショップでミニジオラマ製作を体験するなど、フィギュアを通じてさまざまな世代、国の人たちがつながる豊かなコミュニケーションの創造を描いていきます。
生まれ変わった日本一古い円形校舎。
さあ、ここからどんな文化、ドラマが生まれることでしょう。
円形劇場の成り立ち
鳥取県倉吉市には、日本最古といわれる円形の校舎、旧明倫小学校円形校舎があります。円形校舎は、戦後のベビーブームで爆発的に増加した生徒数に対応するため、1955年前後に全国に建てられ、旧明倫小学校円形校舎も1955年竣工しました。
しかし、その役割を終えて10年以上。外観はくすみ、窓ガラスは割れてベニヤ板が打ち付けられていました。ベランダの手すりは錆び、内部の床のタイルが割れていたり、天井に雨漏りのシミが出ているところもありました。町のシンボル的な存在であった旧明倫小学校円形校舎は、激しい老朽化によって一度は解体が決定しました。
いざ解体が決まると、旧明倫小学校円形校舎の解体を惜しむ声が多くあがりました。そこにあるのがあたりまえだった円形校舎が無くなるということが、想像できなかったのです。少しずつ修繕し、元の姿を取り戻そうという気運が高まり署名活動が行われました。結果、約7,000名の署名が集まり、旧明倫小学校円形校舎は解体の危機を逃れることができました。
旧明倫小学校円形校舎をきれいにし、町のシンボルとしてたんに保存するだけでは意味がありません。円形校舎はユニークな外観に加え、中央にらせん階段を配した構造、扇型の教室など他に類を見ないものです。この独特の空間を生かし、地元倉吉市に工場を持つフィギュア制作会社大手の(株)グッドスマイルカンパニー、さらに業界きっての老舗メーカー海洋堂、鳥取にある米子ガイナックスの協力のもとに、フィギュアの一大展示施設をオープンすることとしました。
クールジャパンを象徴するフィギュアを展示することで、多くの方に円形校舎を「おもしろい」と感じていただけるのではないか。同時に、世界的にも高水準の造形力を持つフィギュアに目を向けるきっかけとなり、校舎とフィギュア双方に相乗効果を生むことができると考えます。将来、この町の子供たちが、「私の町には円形校舎とフィギュアミュージアムがあります!」と胸を張って言えるような施設にしていくつもりです。
明倫小学校円形校舎は、その歴史的、文化的価値を認められて、国際的建築学術組織のDOCOMOMO Japanによる「日本におけるモダン・ムーブメントの建築 216選」に選ばれました。